この話は続きです。はじめから読まれる方は「美優夫人の飼い犬」へ
「坊や,ただいま~」
「ママ‥」
犬になった彼と‥
うとうとと寝ていると,女が帰ってきて起こされた。
酒臭い息を吐きソファーで寝ている僕に屈んでキスをした。
「ごめんね。待ちくたびれて可哀相だったわね。」
さして悪いと思っている風でもなく女が言った。
カーペットに寝そべっていた彼も起きて,しゃがみ込む姿は飼い主の帰りを喜んで尻尾を振る犬の様だった。
「ワンちゃんとたくさん遊んだの?」
「うん。ママにもらったこの犬‥おちんちん舐めるのが好きみたいで3回もしちゃったんだ。」
「3回も?坊やママのミルク残しといてくれなかったの~?ママ泣いちゃうかも‥」
「大丈夫だよ。ママ。僕,ママとたくさんエッチできるから。」
女との偏執的な会話を交わす事に違和感を感じなかった。
「ワンちゃんのお尻してみた?」
彼も望んだがそれはできなかった。
「まだ‥なんか‥ママの方が良いから‥」
「可愛いわ。坊や。ママのお部屋に行きましょう。」
「うん。」
半日以上もいたこの部屋から早く出たかった気持ちと‥
女の柔らかい身体に惹かれ始めている自分がいた。
「ママ‥」
「お前もおいで。」
女がリードを引くと彼も嬉しそうだった。
「坊やは他にワンちゃんと何して遊んでたの?」
彼のここに来るまでの経緯を聴いていたとは言えなかった。
「色々し過ぎて忘れちゃった。でもママに早く会いたくて僕,ずっと待ってたんだ。」
歯の浮く様なお世辞も女は真に受けてとらえるほど結構単純に喜んでいた。
「坊やは甘えん坊だからね。ママがいないと何もできないのはダメよ。」
嬉しそうに笑う女に手を引かれエレベーターに乗り込みました。
朝着てきたガウンを羽織り‥犬になった彼は裸のまま。
「ママ‥」
女の部屋に入るとなぜだか甘えてみたくなった。
彼の様に望んでここにいる者も少なくない事を知って女への嫌悪感が薄れたのかも知れない。
「坊やは本当に甘えん坊さんなのね。」
薄いベージュのスーツのスカートの上から顔を押し当てると甘い香水の匂いに混じって女の匂いがしていた。
「どうしたの?今日はやけに甘えん坊さんなのね。ママがずっといなくて寂しかったのかしら?」
ベッドに寝そべり女に頭を撫でられていると幸福に浸れた。
「ママ‥」
自分でも‥
理解できない感情だった。
つづく「美優夫人の飼い犬19」へ
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