優しい背中_ハッピーライフ-官能小説(happylives-novel)

牝獣(ひんじゅう)となりて女史哭(な)く牡丹の夜 ——日野草城

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優しい背中

22-06-11 03:33

私には憧れの人がいる。
3年間秘かに想いを寄せている。
超美人でグラマラスでかっこ良くて、私が男なら絶対にほっとかない。
それでいて普段は3枚目な所もあったりする天然だ。OLなのだが、時には真っ赤なレザースーツを着て男顔負けの750CCバイクに跨りツーリングに出掛ける。
彼女の名は大原瞳さん。元私の家庭教師だ。私は17才、高校2年の白浜可奈。瞳さんとは14才の夏、出会った。
当時大学生だった瞳さんが家庭教師として我が家に来てくれた。私はひと目で瞳さんを好きになった。この頃には既に自分が女性しか好きになれないことを自覚していた。ただ、まだ恋心というよりもこんな女性になりたいという憧れのほうが強かったように思う。まだ初体験も済ませてなかったし、恋愛にはまだ臆病になっていた時期だった。
瞳さんが現れてからというもの私は毎日が楽しかった。勉強はもちろんのことだが趣味のことやお料理の事、相談事に乗ってくれて
本当のお姉さんのように慕った。私が明るくなったからか友達も増え、15の時には一つ下の女の子の恋人も出来た。私はその子と初めてSEXを
経験した。この世にこんな気持ちいい事があるんだと感動したことを覚えている。当然瞳さんにはそんなこと内緒だ。その子と別れてからも数人の子と
つきあった。もちろん全て女の子。どの子も大好きだったが、私の中ではいつも一番は瞳さんだった。でもどうしても言えなかった。彼女はノーマル
なのだ。あまりしゃべってはくれないが、長く付き合っている彼氏がいるらしい。私は瞳さんに嫌われることが怖くて想いを告白することが
出来なかった。ただ一度だけ告白めいたことをした。高校受験に合格したらご褒美をもらう約束をしていた。私は瞳さんのバイクのタンデムシートに
乗せてほしいと願い出た。それまで危ないからと、一度も乗せてもらったことがなかった。半ば強引にOKをもらいツーリングに出かけた。私は後ろから
瞳さんに抱きつき、バイクは轟音をあげて風の中を駆け抜けていく。真っ赤な背中から伝わってくる温かさと瞳さんの柔らかな抱き心地に安らぎを
覚えた。ゴーという風の音に紛らわすようにヘルメット越しに私は小さく告げた。
「瞳さん、好き」
彼女に聞こえただろうか。伝わっただろうか。何事もなかったように景色は過ぎ去り、瞳さんは終始無言のままバイクを傾け緩やかなカーブを曲がって
いく。それから、瞳さんは今までと特に変わったこともなく私に接している。(やっぱり聞こえなかったんだ)安堵と共に悲しくもなった。
今現在、私には恋人がいる。青山優子、16才高1だ。名門女子高に通うお嬢様。どうして私みたいな普通の家庭で育った者が大金持ちのお嬢様と
付き合ってるかはまた後ほど話すとして、最近、優子と上手くいっていない。けんかが絶えないのだ。もう別れようかと思うときもある。彼女は
性格もよく、かわいいし、尽くしてくれる。申し分ないのだが、やはり生活レベルの違いから少しずつストレスがお互い溜まっているのかなとも思う。
ただ、SEXの相性はいいと思う。お互い最高に感じるし、それで仲直りすることもある。やっぱり優子のことが好きだし上手く付き合っていきたい。
今の私の一番の悩みだ。
-つづく-

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